コツコツ長者への道

2013年にインデックスファンドでの積立投資を始めた素人&ビギナー&個人投資家です

石油よりも投資価値が出てくるもの

「ハンバーガーひとつを作るために必要な水の量はいくらか?」


答えは、1000リットル。500ミリリットルのベットボトル2000本分です。


これは、「ヴァーチャルウォーター」(仮想水)という考え方で、材料となるハンバーグやパンなどを作るのにどれくらい水が消費されたかを計算したもの。

ハンバーグのもととなるのは牛肉、そして牛肉のもととなるのは肉牛です。その肉牛を育てるのには水が必要なるし、エサの牧草を育てるのにも水が必要となります。またパンの材料は小麦で、それを育てるのにも水が必要です。このように必要な水をどんどん足していくと、やがてハンバーガーひとつ当たりに1000リットルの水が使われたということになるのです。


他には、牛丼一杯2000リットル、ポテトチップス一袋185リットル、みそ汁一杯にだって20リットルの水が必要となります。

また食べ物だけでなく、工業製品でも同じように計算していくと、パソコン一台4030リットル、携帯電話一台912リットル、乗用車では一台作るのに64700リットル!も必要になるのです。


このことから、水は生きていくだけではなく、便利な生活をするのにも欠かせない非常に重要なものであることがわかります。

そんな貴重で興味深い話がてんこ盛りの本が、『水に流せない「水」の話』(吉村和就著、角川文庫)です。



さてそのような水ですが、日本は水の輸入大国であることがわかります。

日本の輸入食物の内訳は、主要穀物5種(大麦、小麦、ダイズ、米、トウモロコシ)と、畜産3種(牛、豚、鶏)がメインである。これらを輸入することによって、年間640億トン(1000億トンという説もある)のヴァーチャルウォーターも、同時に輸入している計算になるのだ。
(中略)
今、食料自給率を10パーセント上げるとすると、さらに年間140億トン以上の灌漑用水が必要になってくる。
しかし、現在の日本にはそのような膨大な水は存在していない。
(中略)
例えば黒四ダムの保有水量は2億トン、また富士山の保有水量は約20億トンである。つまり140億トンの水を新たに作るには、富士山7つ分が必要で、そのために黒四ダム級のダムを70個建設しなければならない。
これはとうてい実現不可能な話である。


単純に食糧自給率を上げるためには、農業・畜産を増やせば良いというわけではなく、それを実現させるためには大量の水が必要になるわけです。


ここで思ってしまうのが、日本は島国なんだから周りの海水を使えるようにすればいいじゃないか?ということ。

しかし、

現在、海水を淡水化する方法は主に3つある。
1 熱を使って水を蒸発させ、発生した蒸気を冷やして真水に戻す方法
2 膜を使って海水に含まれる塩分をこし取り、真水を回収する方法
3 このふたつを組み合わせたハイブリッド式
(中略)
しかしながら、このふたつの方法による海水淡水化にはいくつかの問題もある。
最も大きい問題は、高コスト、かつ高エネルギー消費だ。

と、そう簡単にはいかないらしい。


そもそもこの地球上に存在するすべての水の量は、約14億立方キロメートルといわれているそうです。

東京ドーム1兆1000億杯分という量ですが、実際に飲料水や工業用水として使えるのはそのうちのたった0.01パーセントだけ。

なぜそうなるかというと、

地球全体の水資源の約97.5パーセントは海水が占めるという説明は納得できるはずだ。
それでもまだ約2.5パーセントの淡水が残る。だが、その2.5パーセントの淡水の7割は氷山・氷河なので現実的には使えない。したがって飲み水、工業用水はまた目減りして、残り3割、つまり0.75パーセントまで落ち込んでくる。
そして、その約9割は地下に眠っている地下水である。その部分を差し引くと残りは0.075パーセントになる。
しかし、人間が直接その水を採取できるような湖、河川はさらに限られてくるので、ここからまた目減りして、結局「0.01パーセント」という、限りなく低い数字が導き出されるのだ。

ここでも現実はとてもつもなく厳しいことに気づかされます。

そして、そのように貴重な水だからこそ、それを巡っての紛争が世界中で起きていることを知っておく必要があります。

ヨルダン川イスラエル、ヨルダン、レバノン)、ナイル川(エジプト、スーダン、エチオピア)、チグリス・ユーフラテス川(トルコ、シリア、イラク)、ガンジス川(インド、バングラデシュ)などです。


さてこのように生きるに欠かせない「水」ですが、

2009年のスイス・ダボス会議世界経済フォーラム)では、「いずれ水はオイル(石油)よりも投資価値が出てくる」と指摘されていたが、まさに的を射たコメントである。
(中略)
「水を制するものは世界を制する」というが、ハゲタカのように嗅覚の鋭い国際企業はすでに将来を察知して、「110兆円市場」と呼ばれるビッグマネーが動く現場へと、続々あと参入しているのだ。

そしてここで聞いたことのない企業が実に3社で世界の民営化上下水道事業のおよそ8割を独占していた(2000年当時)ことを知りました。

それは石油メジャーならぬ水メジャー

ヴェオリア・ウォーター社(フランス)、スエズ社(フランス)、テムズ・ウォーター(イギリス)です。

浄水処理の技術、施設管理や事業運営などまさにトータルで水道事業を統括しているのがこれらの企業なのです。

そんな中で急成長を続けるアジアの企業があります。シンガポールの水処理会社「ハイフラックス」です。この会社、シンガポールで「水の女王」と異名をとるオリビア・ラム女史が経営者。

もともとは孤児だった彼女は、バナナを売って行商をしながらも、苦学して奨学金を得てシンガポール国立大学へ入学。卒業後は大手製薬会社のグラクソ(現グラクソ・スミスクライン)へ入社するが、28歳で独立して起業する。以後、水処理の道を一筋に歩んできた。
そんな彼女の名を一躍有名にしたのは「ニューウォーター」の開発である。
(中略)
シンガポールは国土が狭く川も少ないため、自国で消費する水の50パーセント以上を、隣国のマレーシアから輸入していた。
ところが、契約改定のとき、突然マレーシアが水道料金を100倍に吊り上げてきたのだ。結局現在は20倍程度の金額で落ち着いているが、「国民の生命線である水の安定した確保」が、シンガポール政府の至上命題となったのだ。
(中略)
政府の後押しを受けた彼女は、先に触れた「ニューウォーター」の開発に邁進する。
これは、下水処理水を、逆浸透膜と紫外線で徹底的にろ過・消毒し、工業用水だけでなく、飲料水としても通用するレベルを目指した水だ。そして今はペットボトルで販売できるレベルまで達したという。彼女と、そしてシンガポール政府の執念が見事に形になったのである。


いや〜、水に関してほとんど何も知らなかったという状態です。

しかし、人間が生きるため、そして生活していくために無くてはならないからこそ生まれてくる水にまつわる話、非常に勉強になりました。