コツコツ長者への道

2013年にインデックスファンドでの積立投資を始めた素人&ビギナー&個人投資家です

子供に、自分以上の何かを求めるのはやめることにしよう


本書では、応えはデータの中にあるという見方をする。
(中略)
何事かについて立場や理屈を述べるのもかまわないし悪いことではないけれど、道徳的な建前を脱ぎ捨てて、データと真っ正直に向かい合えば、新しい、驚くような発見にたどり着けることが多い。

はじめに書かれるこの文章が本書の面白さをズバリと表現している。

『ヤバイ経済学』(スティーヴン・D・レヴィット、スティーヴン・J・タブナー著、望月衛訳、東洋経済新報社)では歯切れいい言葉と統計的手法を用いて、普段私たちが疑問にも思っていない事に疑問を投げかけ、物事の裏にある本当の姿を見せてくれる。

ヤバい経済学 [増補改訂版]

ヤバい経済学 [増補改訂版]



その中でも今回は、子育て中の私にはとても興味深いテーマ、「完璧な子育てとは?」をとりあげてみます。

筆者らも同じく子育て中の身らしく冒頭こう始めます。

ここ数十年、さまざまな子育て専門家が山ほど湧いて出た。なんとなく彼らの言うとおりやってみようかと思っただけでも一苦労だ。子育てに関する通念というのは1時間ごとに変わるのかと思うほどだからである。専門家によっても違うこともある。かと思うと、声のでかい専門家たちが束になって、古い通念は間違っている、新しい通念がどうみても正しいと合唱する。少なくともほんのしばらくの間は、だけれど。

まったくその通り。
子育てに関する本だけでもたくさんあり、育児書や経済誌そしてテレビ番組などではこうすれば頭のいい子が育つとして特集をしていたりする。

「いったい何が真実なのか?」
「親として教育にはやはりお金をかけるべきなのか?」
「教育投資に意味はあるのか?」

完璧な子育てについてあれこれ理屈をこねようと思えばいくらでもできる。でも、この本ではそんなことはしない。理由は二つ。第一に、筆者である私たちは2人とも子育ての専門家じゃない。第二に、私たちは子育て理論よりデータのほうを信じる。

こうして、興味深いデータが次々と出され検証されていく。
ただし、筆者らが言っているように子供の個性や創造性などはデータで測るのが困難。一方、学校の成績は簡単に測れるため、ここではすべて学校の成績にどう影響しているかが検証されています。


学校の成績と相関していた要素は8つ。

  1. 親の教育水準が高い。
  2. 親の社会・経済的地位が高い。
  3. 母親は最初の子供を生んだとき30歳以上だった。
  4. 親は家で英語を話す。
  5. 親がPTAの活動をやっている。
  6. 家に本がたくさんある。
  7. 生まれたとき未熟児だった。
  8. 養子である。


逆に相関のない要因8つは以下の通り。

  1. 家族関係が保たれている。
  2. 最近よりよい界隈に引っ越した。
  3. その子が生まれてから幼稚園に入るまで母親は仕事に就かなかった。
  4. ヘッドスタート・プログラムに参加した。
  5. 親はその子をよく美術館へ連れて行く。
  6. よく親にぶたれる。
  7. テレビをよく見る。
  8. ほとんど毎日親が本を読んでくれる。


これら学校の成績との要因のアリ・ナシからの考察が以下の通り。


意味アリ:親の教育水準が高い。
意味ナシ:家族関係が保たれている。
親御さんの教育水準が高い子は典型的に学校の成績がいい。まあ驚くほどのこともないだろう。教育水準の高い家族は教育好きであることが多い。たぶんもっと重要なのは、知能指数が高い親はたくさんの教育を受ける傾向があること、また知能指数はとても遺伝性が強いことだろう。一方、家族関係が保たれているかどうかは関係ないみたいだ。

意味アリ:母親は最初の子供を生んだ時30歳以上だった。
意味ナシ:その子が生まれてから幼稚園に入園するまで母親は仕事に就かなかった。

母親が最初の子供を30歳以上で生んだ家の子供は成績がいいことが多い。この手の母親は、より高い教育を受けたいとか仕事でもっと力をつけたいとかという女性である場合が高い。
(中略)
その一方で、子供が幼稚園に入園するまで母親が仕事に就かずに家にいても成績がよくなったりはしないようだ。育児パラノイアの親たちなら、ここで相関が見られないので頭にくるかもしれないーそれじゃ延々「おかあさんといっしょ」教室に通ったのはなんだったんだ?ーでも、データはそうなってるんです。

意味アリ:家に本がたくさんある。
意味ナシ:ほとんど毎日親が本を読んでくれる。
もう書いたことだけれど、家に本がたくさんある子は、実際、試験の成績もいい。でも、子供によく本を読んでやっても試験の成績には関係ない。


ここまで読んできて、「じゃあいったい何が子供の成績の良さに影響しているんだ?」とわからなくなってきます。

子供のためにと思ってすることに意味はないの!?


そしてここで3人の女の子の例が出されます。

ある女の子の家には本がたくさんあって、親が家でよく本を読んでくれ、国語の成績もいい。また、同じようにたくさん本があるけれど、本などさわりもせず、着せ替えゴッコとテレビとマンガが大好きな女の子がいます。そして何を隠そう、試験の成績もいい。
一方、家には本が1冊もないけれど、図書館へ行って本を読むのが大好きな子がいる。しかしその子の試験の成績は悪いのです。

何が言いたいかって?本を読んでも小さい子供のころの成績に関係しないとしたら、家に物理的に本があればそれだけで子供は賢くなるってこと?本にはなにか摩訶不思議な浸透力みたいなもんがあって、子供の脳みそに浸みていくわけ?

さて、ここには後で説明されれば、ああそういうことかと納得できる、事実が隠れています。ヒントはこの一文。

本は本当は、知恵をくれるものじゃなくて知恵を映すものなのだ。

ここで先ほど上げた要素をもう一度見てみます。
成績と相関がある8つの要素と、相関がない8つの要素です。

ちょっとオーバーな言い方をすると、一つ目のリストに挙がっているのは親がどんな人かだ。二つ目のリストに挙がっているのは親が何をするかだ。いい教育を受けていて、成功していて、健康な親御さんのところの子供は学校の成績もいい。でも、子供を美術館に連れて行ったりぶったりヘッドスタート・プログラムに行かせたりよく本を読んでやったりテレビの前に座っているのほうっておいたりなんてことは、どうやらあんまり関係ないみたいだ。

ということです。
子供にとって親が大事であることはもちろん大事なことことなんです。

でも、大事なことは子供が生まれるずっと前に決まっていて、どんな人間で、どんな人と結婚して、どんな人生を歩んできたのか、それらが生まれてきた子供にとっては大事なのです。そして、親として子供に何をするのかはあまり重要ではないという事実がさらけ出されてしまいました。

しかし、親が子供に何をするかが重要となる時が来るということを忘れてはいけません。
子供が大人になるころ、知能指数だけから予測するより力強く這い上がっていたのです(大学に通い、しっかりと仕事に就き、20歳を過ぎて結婚していた)。


思い込みだけで、子供を育てるのはやめにしましよう。
子供に、自分以上の何かを求めるのはやめにしましよう。
子供は、良きにつけ悪しきにつけ親に似てくるのです。
親が良き人生を目指すことこそ、最善の子育てであるのです。