コツコツ長者への道

2013年にインデックスファンドでの積立投資を始めた素人&ビギナー&個人投資家です

脳科学から考える効率的な学習法

数年前からの”脳トレ”ブームで、”脳科学”という言葉はかなり一般的になってきました。
書店では”脳トレ”と称して、おとなの計算ドリルや漢字の書き取り、ぬり絵などいろいろなものが販売されています。「脳科学で実証された〇〇〇」という売り文句と一緒に。


そのように用意されたお手軽な本を利用するのは、それはそれでいいと思います。しかしせっかく、私たちヒトの脳についての研究が進み、その知識が一般書などでわかりやすく手に入れられるようになったのですから、そういった噛みごたえのある知識を利用した方が、より応用がきくのではないかと思います。
 
そこで今回は『受験脳の作り方』(池谷裕二著 新潮文庫)を読みました。
受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法 (新潮文庫)

受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法 (新潮文庫)


主に受験生向けに、”記憶”という視点から効率的に勉強する方法が書かれている本ですが、具体的な方法論というよりは、”記憶”というものがどういう仕組みで成り立っているのかが、分かりやすく書かれております。

池谷さんは薬学博士ですが、脳の研究をされている東大の先生で、一般向けに多くの著書を書かれています。この本は、今現在の脳科学でわかっている内容をもとに、普段なんとなく使っている”記憶”について本当にわかりやすく書かれていて、付箋紙だらけになってしまいそうな内容でした。

さて、この本の中でとりあえずは(まさに)記憶しておきたい!ということを3つ書いてみます。

1”記憶の構造”について

記憶自体には、”方法記憶”、”知識記憶”、”経験記憶”の大きく3つがあり(この辺りは学問領域によって、呼び方が多少異なります)、
下図のような構造をとっており、それぞれに特徴があります。


まず”方法記憶”は一番下の階層となる原始的な記憶となります。例えば、自転車の乗り方、服の着方、お箸の使い方など、ものごとの「やり方」の記憶です。その特徴は、無意識に思いだされ、忘れにくくて根強いという点です。

その次は”知識記憶”です。漢字の読み方、年号や英単語、人の名前などいわゆる「知識」や「情報」といった類の記憶です。その特徴としては、思いだすために”きっかけ”が必要となる点です。私たちが「ど忘れ」と呼ぶものは、この種の記憶です。
 
一番上の階層は、”経験記憶”です。その名の通り、自分の過去の経験がからんだ記憶です。恋人にフラれたこと、志望校に合格したこと、通勤中に転んでケガをしたことなど。
そしてその特徴は、意識的に自由に思い出すことができ、忘れにくい点です。

 

2”記憶が強化される”状況について

本では、”海馬(かいば)”や”扁桃体(へんとうたい)”、”側座核(そくざかく)”、”中隔野(ちゅうかくや)”などの脳の解剖とその機能を詳しく述べて、説明されています。
そのどれもが興味深いのですが、ここでは「扁桃体(へんとうたい)」について。

脳の一部分である「扁桃体」(小指の爪くらいの大きさらしいです)が活動すると、記憶が強化されやすくなります。
つまり、忘れることなく、しっかりと記憶されるということです。では、この「扁桃体」はどんな時に活動するのか?

それは、感情が生じたときです。
「嬉しい」、「悲しい」、「楽しい」、「不安」など何らかの感情が絡んだ時には「扁桃体」が活動しており、記憶が強化されるのです。このことは、私たち自身の経験と照らし合わせて、心当りがあるのではないでしょうか。それが、科学的に証明されているのです。

3「脳は出力依存型」という事実

もちろん、情報の入力と出力はどちらも大切なのです。入力のない出力はありえませんから。
しかし、脳がどちらをより重要視しているかといえば、圧倒的に「出力」です。
脳は出力依存型なのです。
(中略)
一体何を基準に、脳は記憶すべきものと不要なものを判断しているのでしょうか。
(中略)
海馬の立場から言えば、「この情報はこれほど使用する機会が多いのか。ならば覚えなければ」と
判断するというわけです。
ですから、「詰め込み型」の勉強法よりも、「知識活用型」の勉強法のほうが、効率的だということになります。
(中略)
教科書や参考書を何度も見直すよりも、問題集を何度も解くような復習方法のほうが、効率的に学習できるはずです。
まさにアウトプットすることで、記憶は強化されていくのです。逆に言うとアウトプットされないことは、不要なこととして忘れさられていくのです。方法や知識、そして高度な判断に必要な記憶を作り上げるためには何事もまず実践が必要だということです。